意味 |
地山の変形や崩落の抑制・防止など地山安定の確保、湧水や漏水の処理、トンネルの内空の整斉や美観などの目的のためにトンネルの掘削面を被覆する構造体またはその構造体を構成することをいう。山岳トンネルでは覆工材料としてレンガ、コンクリートブロックなどが使用されたこともあるが、現在では多くの場合に現場打ちのコンクリー卜が用いられている。この場合、覆工コンクリートは無筋とするのが一般的であるが、強い土圧や偏圧が作用する場合には鉄筋コンクリートとすることもある。山岳トンネルにおける覆工の力学的考え方はいろいろで、鋼アーチ支保工を用いた場合、土圧など荷重に対して鋼アーチ支保工が主構造、覆工コンクリートが補助的構造であるとする考え方、それぞれ独立に荷重を分担する考え方、また両者の合成構造による考え方などがある。また、土被りの浅いトンネル区間などでは鋼アーチ支保工の建込みに続いて仮巻きコンクリートを施工し、その後に本格的な覆工コンクリートを施工することも行われる。このように覆工を分けて施工する場合、前者の仮巻きを一次覆工、後者を二次覆工という。NATMにおいては吹付けコンクリートを一次覆工とし、その内側に二次覆工として現場打ちコンクリートを打設する。この場合に土圧などの荷重に対し、一次覆工を主構造とする考え方、二次覆工と協力して荷重を分担支持する考え方などいろいろで、いまだ確立された考え方が提唱されるまでにはなっていない。シールドトンネルではセグメントを一次覆工とし、その内側に現場打ちのコンクリートを打設して二次覆工とする場合とセグメン卜だけで覆工を構成する場合とがある。いずれの場合にもセグメントが力学的主構造であると考えるのが一般的である。この考え方によれば、二次覆工はトンネルの防水、セグメン卜の補強、防錆、蛇行修正、内装などの目的に使用される。開削トンネルでは覆工板によって路面を覆った仮設の構造体またはその構造体を構成することをいう。
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